謎の日記

分かりそうで全く分からない解体工事の裏側、見せちゃったり見せなかったりします。

昭和

昭和とは、日本という国で最大級、かつどんなオカルト的現象よりも怖い呪いである。

 

その恩恵を受けることも少なくはないのだが、それ以上のものをもってきてくれる。

しかもあるかないか、という与太ではなく現実に存在したから余計に。

 

もう今、令和だぜ?

 

昭和と作業員

解体、というくくりではなく建設作業員全般に当てはまるものではあるんだが、

身体 is 動かす

技術 is 盗む

ケガと弁当 is 自分の責任

 

…のようなものがあって。

頭ではなく体を動かせとか、ケガをすることは恥ずかしい事だから大っぴらにするなとか、技術は能書きされても覚えられないんだから見て真似して身につけるとか、まあーバカでもできるというか、バカが就くというか。

そんな扱いの職業だったわけですね?

 

でも本当に頭の悪い人はこの職業、特に解体工事なんかやっちゃダメだし常に頭は使うし。それでも就く人は……みたいな。そういった矛盾と共に流れてきたわけ。

 

これはまーほかの業種でもそうなんだけど頭の悪い、とかバカ、というのは結局「お勉強ができない」ということじゃなくて、「仕事の流れを理解できない」とかあまり使いたくはないが「空気が読めない」とかそういう意味でして。

そんで、何が問題かっていうと例えば今のSE(システムエンジニア)とか清掃員って最悪の最悪仕事ができなかったり空気読めなくても心肺停止という意味で死にはしない事のほうが多いんだけど、この業界の場合、普通に死ぬんですよね。あと普通に殺しちゃうんですよ。

 

だから先輩に叱られ、怒鳴られ、叩かれ、”自分の行動は(自分でも他人でもだけど)命に危険が及ぶ”とそれこそ体で覚えて”じゃあどうしたらいいんだろう”と自発的に考えて動くようになる、と。

 

暴力とかその辺はまあ良くないことだけど、それがあったから今この令和の中でも割と元気よくやってるおじいちゃんとかがいて、実際その指導を受けたりした人が現場の最前線に居たりしてる。

 

ちなみに叩かれたり怒鳴られたりしてた方はどうなってるかというとバッチバチに反発して言いたいこと言いあって、それでも内には上で書いたような反省をしてたりする。らしい。



で、だ。令和になったこの世、昭和のコレを持ち込んだらどうなると思いますか?

はい、そうですね。

話が合いません。

 

結論から言うと若手が定着しません。

 

これはおそらく技術職(なんとか職人みたいな)全般に言えることですが、

説明書も残ってないし、残そうとしても残す術も手段もなく、経験と勘で成立させていたものを文章化することもできず、そもそも解体に関して言えば文章化自体が難しく、じゃあそれを指導しようとしても指導が「行き過ぎたもの」と捉えられ、理想と現実の乖離に絶望し、離職するという王道パターン。

 

今は動画とか写真とかあるんだけど、何かを残すべき立場の人は、多分それも使いこなせないだろうしなあ。

 

これはもう呪いと言っていい。



昭和と建物

 

コンクリート造の建物の耐用年数は50年くらいと言われていて、

今からだいたい50年前、っていうと昭和中期くらい?高度経済成長期??とか。

 

まーそれはそれとして。そういうものが老朽化したりして、じゃー解体してくださーいって言われて、疑うのが手抜き工事

竣工図(設計図)はあるけど、その図通りになってないだのなんだの。完了検査したの??

 

そんで、コンクリートもグズグズだし、何かの拍子にどうにかなっちゃいそう。

 

ま、それをどうにかする気転を利かす、という意味で頭の回転は良くないとダメなんだが

どんな人が解体してるかな~って考えたら、ねえ……。

 

 

昭和と聞いてノスタルジーに浸ってもいいけど。

建物に関して言えば昭和や大正の見た目を残したいきもちはあるんだろうが

もう持たなくなってきてるんだ。

色即是空